では、アバ とは、なんぞや?
と、考えたんですね。
阿波 とは何か? といような深遠な問題でなく(粟が阿波になった、などという単純なものだと思いません)、単に連想するものを探したんです。
そして、全く考えもせずに、1秒で、頭に
という言葉が浮かんだのです。
考えたわけでもないし、ダジャレとしては出来が悪いし、しかし、ただ単に浮かんだのです。
そもそも、アラハバキという言葉の記憶はありましたが、それがなんだかさえ思い出せません。
速攻、検索すると、東北の神、東北に多く祀られる神、と出てきました。
速攻、検索すると、東北の神、東北に多く祀られる神、と出てきました。
ああ、思い出しました。昔、何かの本で読んだことがあります。
元々、東国に祀られていた神だが、ヤマト朝廷の進出に伴い、東北に追いやられた、というような内容だったと思います。
元々、東国に祀られていた神だが、ヤマト朝廷の進出に伴い、東北に追いやられた、というような内容だったと思います。
しかし、インターネットは便利なもので、実はそれも一説、ということがすぐにわかります。
全く逆の見方もあるそうです。
全く逆の見方もあるそうです。
つまり、実はヤマト側の神で、東国進出の最前線に祀られたものがそのまま当地に残り、後年分祀されていったという説です。
そうすると、先日の「阿波(アンバ)信仰」の民謡、
アンバ大杉大明神、悪魔を払ってよーいやさ~ ♪
と、重なってきます。阿波(アンバ)の神のご利益はいろいろ云われていますが、もともとは「悪魔祓い」。
軍事の最前線で、悪魔・悪敵を追い払う役目を担っていたと考えられます。
軍事の最前線で、悪魔・悪敵を追い払う役目を担っていたと考えられます。
そもそも阿波忌部は、房総に上陸後、北上を続け、茨城、栃木まで、その痕跡が明確に残っていますが、それぞれの地に定住したものが多いとはいえ、ある地点で線を引き、そこから先には進まなかったとするのも不自然です。
アラハバキとは、「音」で伝わる神で、様々な漢字が当てられています。
阿羅波婆枳 荒覇吐 荒吐 荒脛巾 阿良波々岐 麁脛バキ
荒羽 阿良波々岐 荒掃除 新波々木 荒羽々気、 阿羅波比
「ハハキ」とは「蛇木(ははき)」あるいは「竜木(ははき)」であり、直立する樹木は蛇に見立てられ、古来祭りの中枢にあったという。
伊勢神宮には「波波木(ははき)神」が祀られているが、その祀られる場所は内宮の東南、つまり「辰巳」の方角、その祭祀は6、9、12月の18日(これは土用にあたる)の「巳の刻」に行われるというのである。
「辰」=「竜」、「巳」=「蛇」だから、蛇と深い関わりがあると容易に想像がつく。
伊勢神宮には「波波木(ははき)神」が祀られているが、その祀られる場所は内宮の東南、つまり「辰巳」の方角、その祭祀は6、9、12月の18日(これは土用にあたる)の「巳の刻」に行われるというのである。
「辰」=「竜」、「巳」=「蛇」だから、蛇と深い関わりがあると容易に想像がつく。
ハハキが蛇神だとするならば、「ナーガ」とのつながりも考えられます。
「ハハキ」で誰もがピンとくるのは、イザナミが埋葬された「出雲國と伯伎(ははきの)國との堺の比婆の山」に出てくる「伯伎」です。
私は「ハハ」と呼ばれる国があり、それが須佐之男命が統治を欲した国で、「母の国へ行きたい」と泣いたのではない、と仮説を書きましたが、「ハハ」が蛇の古語だとは知りませんでした。
「長の国」と「ハハの国」にはつながりがあるかもしれません。
「長の国」と「ハハの国」にはつながりがあるかもしれません。
この御敷地に顕現するハハキ神は、その内から外へあらわになった意味で、『顕波波木(あらははき)』といわれるようになり、ここに『アラハバキ』の神名が新しく生まれることになる。
『アラハバキ』には『顕(あら)』よりはやさしい漢字『荒(あら)』があてられて、『荒波波木』となり、やがてこの『荒波波木』から『波波木』が脱落してたんに『荒神』となり、それが『コウジン』と音読されるにいたったのではなかろうか。
『アラハバキ』には『顕(あら)』よりはやさしい漢字『荒(あら)』があてられて、『荒波波木』となり、やがてこの『荒波波木』から『波波木』が脱落してたんに『荒神』となり、それが『コウジン』と音読されるにいたったのではなかろうか。
高名な先生も、この辺は私たちと同じレベルで物事を考えているということがよくわかりますね。
各県の荒神社の数を挙げると、岡山(200社)、広島(140社)、島根(120社)、兵庫(110社)、愛媛(65社)、香川(35社)、鳥取(30社)、徳島(30社)、山口(27社)のように中国、四国等の瀬戸内海を中心とした地域が上位を占めている。
他の県は全て10社以下である。県内に荒神社が一つもない県も多い。
他の県は全て10社以下である。県内に荒神社が一つもない県も多い。
ということだそうです。
荒神は「コウジン」と音読されるわけですが、本来は「アラカミ」=アラーの神ではないでしょうかね?
シリア語(アラム語の方言)で神を表す「アラーハー (alāhā) 」が訛ったもの、という説。
非ムスリム系学者に支持されている説である。また、考古学的にもこの説が支持されている。
また、アラム語と同系とされるヘブライ語で神を示すエロアーハー(Eloah, אלוה)も同語源と考えられる。
非ムスリム系学者に支持されている説である。また、考古学的にもこの説が支持されている。
また、アラム語と同系とされるヘブライ語で神を示すエロアーハー(Eloah, אלוה)も同語源と考えられる。
戦闘の先頭(ダジャレじゃないっす)に立った兵士たちが、「神の御加護を」と、その神の名を口ずさんでいたとしたらどうでしょうね?
他にも、アラハバキには「鉄の神」説もあります。
神奈備にようこそ というHPの、「客人社と荒波々幾神を祀る神社一覧」から以下に一部引用させていただきます。
この「客人社」とは何かといいますと、柳田国男の『石神問答』には、
諸国に客大明神(きゃくだいみょうじん)・客人(まろうど)杜・門客人(かどまろうど)明神杜などという小杜があって、それがアラハバキと称されることもある。
いずれも神名・由来ともに不明である。
いずれも神名・由来ともに不明である。
と記されています。
『古語拾遺』 に、
令豐磐間戸命櫛磐間戸命二神守衛殿門 【是 並太玉命之子也】
と記されるように、豐磐間戸命・櫛磐間戸命は、太玉命之子すなわち忌部です。
『古事記』には、
次天石戸別神。亦名謂櫛石窓神。亦名謂豐石 窓神。此神者御門之神也。
と記され、天石戸別神の亦の名であることが確認できます。
アラハバキは、茨城では、那珂川流域、那珂湊市、行方郡麻生町、など阿波と忌部に関わりの深い地域の神社で祀られています。
その他、
武蔵 多摩 養沢神社 かっては門客人明神社[アラハバキ]「豐磐間戸命、櫛磐間戸命」
武蔵 多摩 二宮神社摂社荒波々伎神社 「櫛磐窗命」
越後 蒲原 八木神社 「倉稻魂命、豐磐間戸命、櫛磐間戸命 ほか」
三河 設楽 石座神社摂社荒波婆岐社「豊石窓命、奇石窓命」
丹波 多紀 櫛石窓神社 「櫛石窗命、豐石窗命、大宮比賣命」
出雲 神門 日御碕神社摂社門客人神社「櫛磐窗神、豐磐窗神」
安芸 佐伯 厳島神社摂社門客神社「櫛石窗神、豐石窗神」
備後 甲奴 須佐神社摂社客人神社「豐磐窗神、櫛磐窗神」
豐磐間戸命・櫛磐間戸命をご祭神とし、アラハバキに関わる神社を、「客人社と荒波々幾神を祀る神社一覧」から抜き出してみました。
この神は上に書いたように、
此神者御門之神也
命二神守衛殿門
御門を守衛する武の神でもあります。
朝廷の統治を拡大するに従い、外敵と睨み合うその国境線に置かれる神としては最も適切ではありませんか?
彼らが、戦闘の最前線で悪敵を追い払う際に、「アンバ」「アバ」「アラー」そして、イザナミノミコトの眠る故国の名を呼んだかどうかは定かでない。
ちゃんちゃん。