かがま
膝 ひざ
阿波弁が古語のもととなり、その一部は標準語化した、
というのが、プロフェッサーのらねこの学説なのであるが、
「かがま」から生まれた言葉には、
「かがむ」がある。
それでは、辞書を見てみよう。
かが・む 【屈む】 (Yahoo!辞書)
1 腰などが前に曲がる。「腰が―・む」
2 腰やひざを折り曲げて姿勢を低くする。しゃがむ。「―・んでのぞきこむ」
[用法] かがむ・しゃがむ
「前の人はかがんで(しゃがんで)ください」などでは相通じて用いられる。
「かがむ」は「前かがみの人」などのように前傾の姿勢をもいうが、
「しゃがむ」はひざを曲げ腰を落とすからだ全体の動作を表す。
「道ばたにしゃがんで話し込む」
※ ちなみに、阿波弁には「しゃがむ」の別の言い方があるが、そのうちに書く。
「かがま」を「曲げる」という動詞が「かがむ」であり、
その体勢を表すのが「かがみ」である。
したがって、「身をかがめる」という表現が生まれる。
「かがむ」とは、「かがま」を曲げて姿勢を低くすることであり、
「座る」とは、完全に尻を付ける状態をいう。
その中間、 「かがま」を最大限に「かがめ」て、
「座る」直前まで身を低くすることが 「座る+かがむ」=「すわりかがむ」
=「しゃがむ」である。
すわわち、「かがむ・しゃがむ」の語源を求めると、古語を経て、
膝を「かがま」という地方の言葉に行きつく というわけである。
あくまで、プロフェッサーのらねこの学説ね。
※ 「さし屈みて御覧ずれば」
【義経記】(ぎけいき)室町前期
※ 「ひさかたの天つみ空は高けれど、背を屈めてぞ我は世に住む」
【夫木和歌抄】(ふぼくわかしょう)鎌倉後期
このように、古くからの日本語の語源に関わる表現が、阿波にはそのまま方言として残っているのである。