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エブリイ DA17V レビュー その弐


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約10年前、田舎に戻って感じたことの一つが「最近の軽トラはかっこいいなぁ」というものでした。何がかっこよかったかというと、オーバーハングの短さ(というか、ほぼゼロ)からから来るスタイルの良さです。DA17Vのかっこよさも、この部分の要素は大きいですね。

ところが今年モデルチェンジした最新の軽トラはみな、どのメーカーも、昔のようにホイールハウスがシートの下に来て、そこから前がズーンと突き出ている不格好なスタイルに戻りました。


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何故こうしたのかという説明は目にしたことはありませんが、だいたい想像はつきます。
まず見てすぐ分かるように、ホイールベースが短くなります。直進安定性は低下しますが、その分小回りが効きます。コーナリング性能も低下しますが、それらの欠点は、軽トラという車の主とした用途から見れば、取るに足らないことです。
もうひとつの長所は?といえば、室内(足元)が劇的に広くなる、という点です。


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これが、DA17V運転席の足元です。右側にでーんとホイールハウスが出っ張ってます。
そのため、ペダル類が左に押しやられ、アクセルペダルなどは、最初見た時吹き出したくらいのサイズと形状をしています。

本来、ちゃんとした姿勢でシートに座って、まっすぐ右足を伸ばしたところに、アクセルペダルはあるべきなのです。もっと車格が上がっても、この出っ張りの影響はありますから、車は(この部分は)構造的には左ハンドルの方が適している、と言われるのです。左にホイールハウスの出っ張りがあっても右側にあるよりは悪影響が少ないからです。(ATなら尚更)

特に体格が大きいほど、足が長いほど、この悪影響は受けやすいですね、普通に考えて。
私がエブリイでは絶対にマニュアルを買う気がないのは、このせいです。
その運転のしにくさは親父の軽トラ(アクティ)で知ってましたから。


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もう1000キロも走ったので、大分慣れましたが、最初はなかなかポジションが決まらず、疲れました。上記の理由のせいで、気がついたらシートの左寄りに座って運転していました。
また、右足は膝から下が内側に折れるような変則的な座り方になります。

車に乗ってエンジンをかけるとき、右足でブレーキを踏むことが習慣化していますが、実は、エブリイを買った当初、エンジンを掛けた瞬間、空ぶかしをしてしまうということが数回ありました。
ブレーキペダルを踏んだつもりでアクセルペダルを踏んでいたのです。

今ではほとんど慣れてしまって、全て無意識に始動・運転していますが、おそらく運転中は知らない間に疲れが溜まっているでしょうね。このポジションのせいで。
慣れることで普通に運転しているということは、体のほうを車に無意識に合わせているんです。
本当は人間の運転姿勢に合うように車を作らなければいけないのです。

最近無意識にやっていたクセを一つ、今日自分で発見しました。
信号待ちなどの後、アクセルを踏むときに、右足の踵はつけたまま、つま先を右へクルッと回します。そうすると靴の右先がコツンとホイールハウスの出っ張りにあたりますから、そこで、すっとつま先を前に下ろすと、ちょうどアクセルペダルに足が乗るという仕組みです。(笑)

慣れで解決できるとはいえ、このペダル配置は、車として大きな欠陥と言えるでしょう。
でも、エブリイを今のまま、キャリイのように前輪の位置だけ変えたらいいか?というと、私は賛成しません。
かっこわるくなるからです。
今のまま我慢する方を選びます。

軽トラのキャリイは、前期型からこの部分を改良したのに、同じく実用性を重視すべき商用車でもあるエブリイは前隅にタイヤを配置したままにしたのは、おそらく、エブリイには乗用モデルのワゴンがあるからでしょう。
メーカーだって、かっこ悪くなると売り上げに響くのが分かっているんです。
いや、走行安定性を重視したのだ、と言うでしょうけどね。


※追記

このあと、実際に仕事でエブリイを使うようになって、考え方が変わりました。
毎日ではありませんが、山間部のかなり険しい急角度の坂道を走ることが度々あるのです。
どのくらい厳しいかといえば、厳しいところでは、路面が濡れてもいないのにタイヤが空転する。
そのくらいの急角度の道を登ったり下ったりした先に民家や集落があるのです。

もうそうなると、実際にも精神的にも、前論が車体の一番前の隅っこに付いていることが、どれだけ安定・安心につながっているか。もう少しまともな山道での下りコーナーでも安定感があります。やっぱりこのままがいいです、スズキさん。