空と風

旧(Yahoo!ブログ)移設版

アマテラスは女性天皇

 
以前、阿波古事記研究会の説をネットで見ていて、なるほど~!!と唸ったことがあります。
 
それは、「アマテラスとスサノオの誓約」の解説です。
 
みなさん御存知だと思いますが、簡単に書きますと、イザナギに追放されたスサノオ根の国(黄泉の国)へ行く前に、高天原へ登っていきますが、アマテラスはスサノオ高天原を奪いに来たものと思い、武装してこれを迎えます。
 
そこでスサノオは、その疑いを解くために、誓約(うけい)を提案しました。
 
アマテラスの持ち物からは5柱の男神スサノオの持ち物からは3柱の女神が、それぞれ化生します。
それをもって、スサノオは、「我が心清く明きが故、我が生める子、手弱女を得つ。此に因りて言さば、自ら我勝ちぬ」と勝ちを宣言します。
 
この部分の解説は、みなスルーするか、「女神を生むということが心の清らかな証拠」と言うだけです。
 
阿波古事記研究会も、例の女系天皇の問題が顕在化したときに気付いたといっていますが、これは自分が高天原の王の座を狙ってはいないという証なのです。
 
つまり、この時代、当然天皇という呼称はありませんが、そういう立場の人物がおり、それは当時から「男系」で引き継がれていた、ということなのです。
 
分かりやすくするために仮に天皇という書き方をしますが、スサノオが武力で天皇の座を奪ったとしても次代に継ぐためには皇子が必要なのです。
そこで女神ばかりを生んでみせたということが、そういう邪心のないことを象徴的に表しているわけです。

 
 
そういうことを前提として考えますと、いろいろなことが見えてきます。
アマテラスは、下界から、イザナギが「高天原を統治するために」送り込んだのです。
つまり、イザナギも「皇位継承者」の資格を持つ一人だったのです。
 
もしかしたら、国生み後には皇位に就く予定だったのかもしれません。
しかし、イザナギは掟を破ってしましました。イザナミに会うため「殯の宮」へ入ってしまいます。
当時、死は不浄な世界でした。天皇は祭祀王でもあり、身を穢してはなれない存在だったのです。
しかし、禊ぎをすることで、その御子達には皇位継承権が残ったのです。

 
こうなると、魏志倭人伝が思い出されます。
倭国は元々男王が治めていたが、
 
 其國本亦以男子爲王住七八十年倭國相攻伐暦年及共立一女子爲王名曰彌呼
 
国乱れ、女王を共立することで平和が訪れたと記します。
 
古事記を見てもわかるように、古代は女性の方が霊力が高いとされていたようです。
倭迹迹日百襲姫、倭建命の叔母倭姫命、数々の神主が登場します。
宮主矢河枝比売の「宮主」なども神社(かみやしろ)の宮を表していると思います。
家長などという意味でわざわざ宮主などと名前の頭に付けるわけがありませんから。
 
神事を担当する、霊力の高い、皇位継承権を持つ女性、が必要になったのです。
そこで、アマテラスが日の神子(みこ)となりました。

 
しかし、アマテラスは「女性天皇」であって、「女系」が認められたわけではありません。
魏志倭人伝を見てもわかるように、卑弥呼の死後は再び男王が立てられます。
そしてまた国が乱れ(この国とは高天原内部ではなく、周辺の属国・同盟国と思われます)、再び女王「イヨ」が即位します。
 
これが2代目アマテラス、天岩屋戸事件後の天照大御神なのでしょう。
となると、その後ずっとアマテラスをサポートした高木神こそが、本来皇位に就く予定だった方なのでしょう。
 
 
 
さらにその先を考えると、絶対に成し遂げならなければならないことがある、ということが分かります。
 
つまり、2代目アマテラスのあとは、何がなんでも、男系に戻さなければならない、ということです。
 
 
私は、それが天孫降臨の最大の理由だと考えます。
 
男王に抗ったのは高天原族ではなく、おそらく下界の海人族だったのです。
男王を復活させるために、海人族の王女トヨタマヒメを皇族に迎え、天界下界を同盟国ではなく、完全な同一国としたのです。