さらに数年前、鳴門地方特有のうどんがあるということで、その独特の食感から「鳴ちゅるうどん」と命名し、紹介した本が出版されました。
ネットで調べても、「コシのないうどん」とか、「ダシ(つゆ)が勝負のうどん」とか、なんだか食べてみたいという気にさせるコメントがなく、今まで無視しておりました。
この鳴ちゅるうどんにも「有名店」というものがあるそうで、そのひとつが「舩本」で、この店はその支店になります。
もち天うどん
嫁は一口食べて、「これは、“どん兵衛”だ」 と言いました。
続いて食べた私。
「ああ。伸びたどん兵衛だな」
でも嫁は、続けて、「私、これ、好き」 とも。
香川県人が食べたら、なんじゃこりゃ?これがうどんか?あきれるの~、と言うでありましょう。
でも私は、こう言っておきましょう。
それは、これを「うどん」だと思って食べるからだ、と。
自分たちが食べ慣れたうどんこそがうどんであって、それ以外はうどんではないという思い上がりが生む感想だ、と。
鳴門うどんの特徴の一つは、麺の長さや太さが不揃いだということです。
逆に、どうやったらこんな麺ができるのか、不思議なくらいです。
写真を見てもわかるように、コシはありません。
ちゅるっと、口に入って、ちゅるっと喉へ落ちていきます。
極端なハナシ、噛む必要さえありません。
よく、うどんやそばで、「噛まずに食べるのが通だ」みたいなたわけ話が聞かれますが、このうどんは本当にそれでもいけそうです。
私は、ワンタンの皮を思い出しました。
でも、うまいんです、これが。 食わず嫌いとは全くこのことです。
讃岐うどんをスタンダードとして評価するなと書きましたが、同じ「うどん」という名前ではありますが、違う食べ物と思って食してください。
このうどんの魅力が分かるでありましょう。
たとえば、同じ小麦粉で作っているからといって、いつも餃子を食べているやつがワンタンを食べて、こんなの餃子じゃない、マズイ、と言ったら、脳みそを疑われるでしょう。
それなら、うどんを名乗るな、というのでしたらそれでもいいです。
ええ、「鳴ちゅる」でいいですよ。
看板の「うどん」の文字は、小さくしときます。
と、書いておきながら、今検索したら、うどんの発祥地は実は定かではないらしいじゃないですか。
空海が中国から出身地の讃岐へ持ち込んだのだ、というもっともらしい情報に踊らされておりました。
それも一説だそうです。
鳴門のみなさん、すみませんでした。
堂々と、うどんを名乗ってください。
もち天もおいしかったし、このちくわ天もおいしかったです。
揚げ物はサクサクしていて、香川のどのセルフ式うどん屋さんよりも上ですね。
このうどんは、ざるなんかでも食べてみたいなと思いました。
ちょっと、くせになりそうです。
けっこう、奥が深いかも? です。